著作権制度の概要
1.著作権法の目的
- 著作権法では「文化の発展に寄与すること」を目的としているので、文芸、学術、美術、音楽といった著作物と、実演、レコード、放送、有線放送に関する権利を保護しています。著作物には、それを作り出した人(著作者)の思想や感情が表現されるため、権利には、財産的な利益を確保するための著作権(財産権)だけでなく、著作者等の人格的な利益を確保するための著作者人格権、実演家人格権も含まれます。
- 「著作権」という用語は広狭さまざまな意味に用いられるため、注意を要します。
- 著作者人格権
- 著作権(財産権)…「著作権」とは基本的には「著作権(財産権)を指しますが、「著作者人格権」、「実演者人格権」、「著作隣接権(財産権)」も含め、広く「著作権」と言う場合もあります。
- 実演家人格権
- 著作隣接権(財産権)
2.著作権法の特徴
- 著作権法では、「著作物を創作した人」だけでなく、「著作物を伝達した人」にも一定の権利(著作隣接権)が与えられます。
- 著作物が作られたり、実演等の行為が行われた時点で自動的に権利が発生します。「無方式主義」
→産業財産権(特許等)は、「申請」や「登録」等の手続が必要
- 著作権法では、実際の創作活動を行った自然人(個人)だけでなく、法人も著作者となることができます。
→特許法では、会社(法人)は発明者とはなりえない
3.著作権保護の歴史
- 15世紀中頃の印刷術の発明により、複製が容易になり、創作者の保護が必要となる。
- 18世紀から19世紀にかけて、ヨーロッパ諸国では著作権の保護に関する法律が作られる。
- 19世紀後半(1886年)には、国際間の取り決めとして「ベルヌ条約(文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約)」が作成される。
- 1899(明治32)年、日本で初の著作権法が制定され、この年同時に、著作権保護の基本条約である「ベルヌ条約」を締結。
- 1970(昭和45)年に全面改正が行われ、現在の著作権法が制定。
- 1985(昭和60)年の法改正により、コンピュータ・プログラムが著作物に規程される。
- 1986(昭和61)年、日本は、世界で初めて「自動公衆送信」を著作権(財産権)の対象として法定。
→デジタル化・ネットワーク化の発達に伴い、法律改正での対応が求められる。
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